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部屋から取ってきたのは、ボイスレコーダー。
そう。あのときの会話が吹き込まれていて、雑音処理をPCで終わらせたもの。
「海斗さん。これを聞いてください。」
それを受け取った海斗は、直ぐに再生ボタンを押した。
聞いている姿を見ていると、その表情がどんどん重苦しい、そして、怒りの表情に変化していく。
「これを…どこで…?」
「お会いした福岡での帰り道です。喫茶店に入って食事をしていたら、後ろに座ったんです。
いまだに癖が抜けきれてないので、思わず録音してしまいましたが、それは彼女が」
「……嘘をつくな!!!」
パキッッ!!!
乾いた音を立てて、海斗がボイスレコーダーを握り壊した。
「……何するんですか。」
「お前の情報を俺が信じるとでも?」
「はい?」
「お前…アイドル嫌いだとか言っておきながら、俺のこと好きなんじゃん。」
「……はい?」
「だからこうして、俺の彼女に嫌がらせしてんだろ?」
……別れない理由……
分かった気がする。
この人は、知っていながら、彼女だけを信じてるんだ。
本気で彼女を愛してる。
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