仙人が見た夢。

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昔、ある男が戦争で刺されました。 白雲の上で夢うつつにそれを見ていた仙人、 ため息一つ吐いて目ジワを歪め、 もし男が生還した場合に生まれる子孫たちを夢に見ました。 子は親を刺した者に刺されて倒れました。次いで同じく、孫も刺されて倒れます。 孫の子も、その孫も血統の通りに倒れていきます。 最後の子孫が自ら剣を抜き、殺人鬼に血を浴びせ返したとき、千人の亡骸がなりました。 この間15分、現では男が息を吐くたび、剣は血統をつなぐ死因の創傷をなぞり続けました。 (蛇足) 息が絶えようとするとき、仙人が薄目に開けました。 その死を白雲が食べて羊になるところで、おしまい。
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