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昔、行商人が盗賊に襲われ荷物身包みを剥がされました。
命からがら訪問先に辿り着き、配達できなかったことを謝りました。
「さっさと帰れ」「商品を持って来い」
という相手もいれば、
「まぁまぁ、行商人さん、とりあえず服を」「飯を」「風呂を、え、急ぐからいらないと」
という相手もおりました。そんな彼らの情けもあり家に帰ることができました。
今度は護衛をつけ、荷物は余分に持って行きました。
しかし、余分は商売相手のためではありませんでした。
余分の荷物に手紙を添え、襲われた場所に置いて行きました。
しばらくして盗賊は荷物を奪いましたが、字が読めません。
帰りの行商人が沢山荷物を持っていたので護衛共々殺して奪いました。
「はなせばわかる」
と言って行商人は息を引き取りました。
里に降り、字の読める人に手紙を読んでもらいました。
「話がしたい。わたしは今行商人をしているが、若い頃は野山に潜み、他人の物を奪う悪党だった。
しかしある日、行商人から奪った荷物に手紙があった。
悪党へ
荷物は訪問先の村々になくてはならない物ばかりだ、その供給が途絶えれば村は崩壊してしまうだろう。
先日君が荷物を軽々と持ち運ぶ姿を見た。悪党をしているなんて勿体ない。行商人をしてみないか。
わたしはその人の紹介で行商人になり、こうして君に手紙書いている。
行商人
念のため、紹介状も添付しておく。」
盗賊はその日から行商人になりました。
(蛇足)
盗賊は腕が立つので護衛になったりしました。
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