君伝3…3章 お帰りのキス!?

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「ね、俺の言ったとおりでしょ?」 「別に疑ってません」 「疑ってたんだ」 そんな事を口にしてしまうというのはやっぱり疑ってたわけで、だからって、 「今の先輩を疑ってた訳じゃないって意味です!」 昔の彼までは信用出来ない、というか、 「あぁ、昔か。だから元カノとかいってたんだね」 「……」 自他共に認めてるから責めようも無い。 「というか、もうここでいいですから!」 そう叫んだのは駅の改札口。 「いつも家まで送ってたでしょう?」 「そっ、それはそうだけど! でもっ、明日はっ」 「うん、テストだけど大丈夫」 「何を根拠にっ」 「充電するから」 「――っ」 そんな一言に言葉を飲んで、さらに顔を赤くしてしまうから、 「そっ、そんなのっ、さっきご飯だって沢山食べたしっ」 「ちゃんと意味分かってるんだ。可愛い」 なにを言っても説得力が無い。なにより、 「ほら、おいで」 改札口のむこう、差し出される手にもう心臓は走り出しそうになってる。 その手を取って電車にのって。
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