君伝3…3章 お帰りのキス!?

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「期末テストは大丈夫だった?」 「だからここに居れるんです」 「そっか」 赤点なら間違いなく補習がある。 何よりも美穂は受験生で……。 「受験勉強は捗ってる?」 「それは……、ぼちぼちです」 ようやく志望校を決めたくらいで、流れに任せて予備校の申し込みもした。 「琢磨のいる大学だっけ?」 「受かるかどうかも分かりませんけど」 「なら、こっちにいる間、家庭教師してあげようか?」 「え?」 「なんでも教えてあげる。数学も古典も、保健・体育まで」 「……最後は余計です」 「あぁ、もう知ってるから?」 「違いますっ!!」 「なら、やっぱり教えて」 「先輩っ!!」 電車の揺れが心地よい、クーラーは効きすぎて肩は冷たいのだけど繋がれた手だけは暖かい。なにより、 「次だね」 「――っ」 耳元近くで囁かれる声に、心臓のドキドキが増していく。
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