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蛸の吸盤みたいに、しがみついて離れない。
…ったく、あたしだってしがみつきたいよ。
離れに行くか行かないか躊躇しているあたしに、海翔が声を掛けた。
「美優も来いよ」
「あたしは別にいいよ。空翔に来た荷物だし…。興味ないし」
本当は箱の中身が気になり、興味津々なのにやせ我慢をする。
「っか、来いよ」
海翔はあたしの腕を掴んだ。二重焼きを食べていたおばあちゃんが、驚いて目を見開く。
でもすぐに目尻を下げ、優しく微笑んだ。
「美優もいっておいで」
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