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真桜に俺が栄太郎だと気づかせてから三週間。
真桜は俺の家に来なくなった。
総とはケータイで連絡はしているみたいだけど、あの日を境に総と会おうとしないらしい。
総は「何かあったのかな?」と、とても心配していた。
「兄さん、最近、真桜の様子が変なんだ。電話で話してても何かうわのそらで、家に遊びに来てって言っても大学のレポートが忙しいって断ってくるし……僕、真桜に何かしたのかな?」
「総があまりにも真桜ちゃん一筋だから、その気持ちが重いんじゃない?だって家に遊びに来たとき、いつも首筋にキスマークをつけて帰らせたりしてただろ。」
「兄さん気づいてたんだ。」
「あれは普通気づくよ。嫌でも気づく。」
「だって真桜は僕のものだってみんなに示したかったんだもん。確かにいつも恥ずかしそうにしてたけどそれが嫌だったのかな。」
「俺が……俺が真桜ちゃんに聞いてみようか?総、明日の休み幼稚園の遠足でいないだろ?その時、真桜ちゃんを家に呼べばいい。」
「総がいなければ何か話してくれるかもしれない。ほら、俺は女心をよく知ってるし真桜ちゃんとも仲がいいから。」
「……うん。じゃあ、兄さんにお願いするよ。真桜には今夜にでも連絡しておく。」
そう言って総は二階の自分の部屋に戻っていった。
「………。」
―次の日の朝―
「兄さん、真桜、今日来るって!!僕もう出かけるけど、真桜が変な理由ちゃんと聞いておいてね。お昼過ぎ頃に家に着くようにするって言ってたから。」
「……分かった。」
来てくれるのか……。
真桜に会えるなら理由なんてどうでもよかった。ただ真桜の顔が見たかった。
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