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「第2棟、大講義室……ここか。」
『真桜お姉ちゃん、6限でこれから授業があるって、〇〇女子大学の第2棟の大講義室だって言ってました。』
『ありがとう、恵ちゃん』
『あっ、真桜お姉ちゃんのこと絶対に幸せにしてあげてくださいね。お姉ちゃんすごく苦労した人なんです。』
『私は思ったことすぐ言えて暴れまくって生きてきたけど、真桜お姉ちゃんは我慢するタイプで……。以前、心が壊れちゃったこともあるんです。おじいちゃんが立ち直らせたんですけど。』
『何となくは知ってる……。素敵なおじいさんだったみたいだね。』
『はい、でも真桜お姉ちゃんも素敵な人ですよ。無条件で人を愛せる人……。あんな温かい人は見たことがありません。親も見捨てた私のことも愛してくれました。だから私は道をそれずに生きてこれた。』
『もう、あの人が幸せになれないなら誰が幸せになるんだって思うくらい温かい人なんです。』
『……絶対…絶対幸せにするよ。約束する。恵ちゃん、ありがとう!』
大講義室の扉を開けると、たくさんの生徒が授業を受けていた。
俺はその中から真桜を見つけて真桜のいる方向に向かった。
「君、誰かね!?何をしているんだ!!」
「約束を守りに来ました。大切な子を攫いに……。」
周りの女子大生たちは、俺のその言葉に「キャー」と黄色い声をあげてたけど、俺は真桜だけを見つめて真桜に近づいた。
「ずいぶん待たせたね、真桜……。」
真桜は泣いていた。
そんな真桜を俺は涙ごと抱きしめた。そして真桜の瞳を見て言った。
「真桜、駆け落ちしよう。俺の故郷に一緒に行こう。いろんな所、案内してあげる。」
「栄太郎……。」
俺は泣いている真桜の顎を持ち上げて口づけをした。久々に真桜とする口づけは涙の味がした。
「真桜……愛してる。これからはずっと一緒にいよう。」
「しばらくは苦労かけるかもしれないけど、俺と一緒に来てくれる?」
「うん……。」
「俺も全て捨てるから真桜も全て捨ててくれる?」
「うん……。」
俺は真桜の頭を撫でて言った。
「よくできました。」
前の時代で死ぬ前に最後に真桜に言った言葉だ。
俺は真桜の手を引いてそのまま彼女を連れ去った。
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