ぬくもり

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「……私…私は……。」 うまく話をできないでいる真桜の両手を自分の手で包み込んで、俺は真桜の返事を待つ。 「私には総さんがいるからもう栄太郎には会っちゃいけないって何度も思って……。」 「うん…。」 「でも、それでもやっぱり栄太郎に会いたくて……どうしても会いたくて…今日来ちゃた……。」 「そうか……。」 「……っ…ひっく、ひっく…。」 「真桜…何で泣くの?」 「ごめん、ごめんなさい。私が今、総さんと付き合っているの知ってるでしょう?だから栄太郎の気持ちには答えられない。」 「私は栄太郎のことが大好き。でも今は総さんのことも好きなの。」 「総さんは私がいなきゃ駄目な人なの。きっと私がいなきゃ駄目になっちゃう。」 「……分かった。」 「ごめんね……栄太郎……。」 「何となく分かってたよ……。真桜、自分を責めないで。」 「……私が栄兄さんが栄太郎だってことに気づかなかった時、この家に遊びに来ると、よく栄兄さんが私の頭を優しく撫でてくれたでしょう?」 「私、それがとても大好きだった……温かくて……。でも総さんを選んだら、もうそれもしてもらえなくなると思うと悲しくて、つらくて……。」 「自分勝手な想いだけど、本当はね、栄太郎が私から離れていってしまうのが……栄太郎を失うのが怖い。凄く怖いの。」 俺はそう言って泣く真桜の手を引っ張って自分の腕の中に抱き寄せた。 「真桜……。」 すると真桜も俺の背中に両手をまわしてきた。 しばらく俺たち二人は抱きしめ合った。
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