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「そうか……お前の好きなように生きればいい。体にだけは気をつけろ。」
俺は栄俊にそう言って電話を切った。
いつかこんな日が来るとは思っていた。
駆け落ちまでするとは思わなかったが……。
俺が初めて神崎真桜という総の彼女に会ったのは夏が終わる頃だった。
―約4ヶ月前―
ある日の晩、俺の家から出てきた女を見て俺は声をかけて呼び止めた。
「待ちなさい。君は栄俊か総の彼女か?」
「…はい。総さんと付き合ってます。あの……あなたは……?」
振り向いて答える彼女を見て俺は固まった。
俺はこの子と……会ったことがある……。
何だこの懐かしさは……。
胸が締め付けられるようなこの感覚は何だ……?
「あの……。」
「あ、ああ、総と栄俊の父親だ。」
そう言うと彼女はにっこりと笑って挨拶をしてきた。
「初めまして、神崎真桜といいます。いつも家にお邪魔させていただいているのに今まできちんとご挨拶できなくてすみませんでした。」
「……いや、別に構わない……。真桜ちゃん……と呼べばいいかな?」
「はい。呼び捨てでも構いません。好きなように呼んでください。」
「そうか……。」
俺が彼女を見つめているその時だ……。
「真桜ちゃん!!」
栄俊の声が聞こえた。
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