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―次の日の朝―
俺は腕の中にいる真桜の寝顔を見つめていた。
「う……ん……栄太郎…?」
俺は笑って真桜に言う。
「真桜、おはよう。」
「お、おはよう……。」
真桜が顔を真っ赤にしながら答える。
「栄太郎……まさか私の寝顔ずっと見てた?」
「うん。かわいかったから。」
「………。」
真桜が黙る。
「どうかした?」
「……好きな人に寝顔見られるのって恥ずかしい……。」
「総には見られてただろ?」
「新撰組の屯所にいたとき、総さんとは同室だったの。総さんは意識してなかった頃から見られてたから慣れてたっていうか……。と、とにかく栄太郎に見られるのは恥ずかしい。」
「それは俺のこと好きだからなんだよね?」
「うん。」
「かわいい……。」
「えっ?」
「かわいいって言ったんだよ……。」
「もう…やめて……。」
真桜が恥ずかしそうに言う。
「…栄太郎……服…着るからあっち向いてて……。」
「ダメ。もう少しこのまま真桜の肌のぬくもりを感じていたい……あっ、そうだ……。」
俺は脱ぎ捨ててあるスーツの上着のポケットから薄く小さい木箱を取り出して真桜に渡した。
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