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「これ、真桜に……。」
「何?」
「開けてごらん。」
真桜は首を傾げながらその木箱を開ける。
「…これって……櫛……。しかも彼岸花があしらわれてる……。」
「真桜に渡したくて特別に注文して作ったものなんだ。真桜に会えたら渡すつもりでいつも持ち歩いてた。」
「これを渡す意味分かるよね……。幕末にいた時も渡したけど、改めて受け取ってくれる?」
「…うん。」
「前に貰った櫛、家に置いてきちゃったからそれだけが心残りだったの。また栄太郎から櫛を貰えるなんてすっごく幸せ……。」
そう言って涙を流す真桜を俺は優しく抱きしめた。
幕末にいた頃からの夢だった。
朝、起きたら真桜が俺の隣で眠っていて、世界中の誰よりも先に真桜に「おはよう」って言う。
真桜、君は早瀬栄俊が…吉田稔麿が唯一愛した女なんだ……。
俺がずっと探し求めていたとても大切な女の子……。
もう離さないからこれからは俺の隣で笑っていて……。
「真桜、愛してるよ。」
俺がそう言うと真桜が櫛を持ったまま俺の背中にそっと両手を回して言う。
「私も愛してる……。これからは栄太郎のことだけを見つめて生きるね。大好きだよ、栄太郎……。」
そして俺たちはどちらともなくキスをした。
しばらくキスをしていると真桜が俺の唇から自分の唇を離そうとするから、俺は真桜を逃がさないように真桜の頭を両手で掴んでベットに押し倒して荒々しいキスをした。
そして真桜が呼吸をしようと口を開けた隙に真桜の口内に侵入した。
「んっ……っ……ぅん…」
ごめん、真桜……もう少しだけ我慢して……。
真桜が俺のだって確認したいんだ。だから逃げないで……。
これからもずっとずっと君を愛してる……。
――――――――
――――――
――――
さっきからこんなキス……恥ずかしすぎる……。
栄太郎にキスされるとクラクラする……けど、嫌じゃない……。
栄太郎が私を求めてくれるのが嬉しい。
これからも私のことたくさん愛してね……。
私は栄太郎のする口づけに必死に応じた。
栄太郎と一緒ならこれから先、何があっても怖くない。二人で幸せになろうね……。
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