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東京にはいつも母さんの墓参りも兼ねて四泊は泊まっていく。
真桜が今日の昼に父さんにお弁当を届けて、その後、父さんは真桜と一緒に俺と子ども達に会いに俺たちが滞在しているホテルに来た。
父さんは孫のことも可愛がっているけど、真桜のこともとても可愛がっている。
真桜と一緒にいる父さんは……
すごく優しい顔つきで微笑む。
実の子供である俺や総の前でもめったに微笑んだりはしない人なのに。
真桜からは父さんがあの新撰組三番隊組長、斎藤一の生まれ変わりだとは聞いている。
俺と真桜との間に隠し事は一切ない。
だから一応、安心はしているんだけど……。
今日、父さんが真桜の名前を呼び捨てにしていたのには少し妬けたかな……。
真桜も父さんのこと「はじめさん」って呼ぶし、まるで二人が歳の離れた夫婦みたいでちょっとね……。
俺は子ども達を寝かしつけて子ども達の頭を優しく撫でている真桜を後ろから抱きしめた。
「栄太郎……?」
「真桜、明日父さんの職場の同僚たちで開かれる妻同伴の親睦会に母さんの代わりに本当に行くつもり?」
「うん、だめ?はじめさんだけが奥さんいないといずらいかなと思って。はじめさんはただの親睦会って言ってたけど、今日はじめさんの仕事が終わるのを待っていたとき部下の人が妻も同伴の親睦会って言ってたから。」
「父さんはそんなこと気にするような人じゃなと思うけど。」
「私が気にするの。それにはじめさんがお世話になっている人に挨拶しておきたいの。」
「真桜は俺の奥さんだよ。父さんの奥さんじゃない。」
すると真桜は黙って抱きしめている俺の腕に手を重ねる。
「栄太郎が幕末で死んじゃった時ね、ボロボロだった私の側にずっといてくれたのははじめさんだったの。私のこと励ましてくれたのもはじめさん。栄太郎は私といて幸せだったはずだって言ってくれたの。」
「現代でもそう。私たちが駆け落ちした時、いろいろ助けてくれたのははじめさんでしょう?何か少しでも恩返ししたくて……。」
「…………。」
俺は真桜の体をを自分の方へ向けた。
そして甘くて激しいキスをした。
俺の激しい口づけに耐えられなくなって、膝から崩れ落ちようとする真桜の体を支えながら、俺はしばらく真桜との口づけを堪能した。
何度しても慣れずに俺の口づけで目を潤ませている真桜がかわくて、ついつい激しいキスになってしまう。
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