俺は3万円で売られた

12/30
前へ
/351ページ
次へ
 聞かれて俺は渋々頷く。  うまい話なんかあるわけないけど、聞いちゃった以上、逃げられねぇ。 「わかった。逃げも拒みもしない」  俺が言うと、監督は俺の肩を力一杯叩いた。 「よし、出発は今夜だ。隊長は領主の館に居候するのが決まりだからな。いる物全て持って、午後九時に養成所の入口へ来い」  監督はそれだけ言って立ち去る。  俺も、準備をするために牢屋みたいな部屋へ向かった。  ふと時計を見ると、午後六時だった。あと三時間だ。  こんなにもあっけなく、ここを出られるなんてな。
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加