俺は3万円で売られた

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「ちょうど二人きりだな」  監督が口を開く。  またヤバい話でも持ち込んできたのか?前にも、同じようなことがあった。  監督と二人きりだった時に、南領の貴族一人を暗殺するという任務を持ち込まれたことがある。  南領というのは、ここイミィル国の大きな山“神々の聖域”を境に南側の領土を指す。  昔から南と北の領主は仲が悪く、いつ戦争になってもおかしくないらしい。  ちなみに俺は、その任務を断わった。貴族の暗殺なんか、北の領主の護衛部隊の俺には向かないし、そんなことしたいとも思わなかったからだ。 「…また変な任務でも持ち込んだのか」  俺の言葉に、監督は鼻を鳴らす。 「変な任務とは、人聞きの悪い」  監督はかけているサングラスを持ち上げ、一言言った。 「おめでとう」
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