214人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょうど二人きりだな」
監督が口を開く。
またヤバい話でも持ち込んできたのか?前にも、同じようなことがあった。
監督と二人きりだった時に、南領の貴族一人を暗殺するという任務を持ち込まれたことがある。
南領というのは、ここイミィル国の大きな山“神々の聖域”を境に南側の領土を指す。
昔から南と北の領主は仲が悪く、いつ戦争になってもおかしくないらしい。
ちなみに俺は、その任務を断わった。貴族の暗殺なんか、北の領主の護衛部隊の俺には向かないし、そんなことしたいとも思わなかったからだ。
「…また変な任務でも持ち込んだのか」
俺の言葉に、監督は鼻を鳴らす。
「変な任務とは、人聞きの悪い」
監督はかけているサングラスを持ち上げ、一言言った。
「おめでとう」
最初のコメントを投稿しよう!