俺は3万円で売られた

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 勘違い?  俺は訝しげに監督を睨む。  変な任務じゃないって言うなら、何だっていうんだ。  俺がそう思っていると、監督は口を開く。 「勘違いの理由を知りたいなら、逃げずに話を聞くんだな」  勘違いっていうのは、監督の作戦かもしれない。俺がそれで話を聞けば、変な任務を俺に受けさせることができるわけだし。  俺がそう思っていると、監督は肩を竦めた。 「オマエ、いいのか?ここから一生出られなくて」  俺は、家族のことを考える。古くて小さな家に置いてきた、母さんと生まれたばかりだった妹…。  父さんは死んじゃって、男がいない家だ。早く俺が帰って二人を守らないと。 「出たいさ…。けど、」
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