PROLOGUE

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 ―――もうすぐ、彼女と出会ってから二年目の夏が来る。あの時も、暑い夏だった。  初めに興味を持ったのは、友人のピエールだった。彼の周りにいる女達と全く違っていておもしろい、と言っていた。  真っ直ぐに人を見るその大きな瞳が、とても印象的だった。  普通の女の子だと思っていた。  礼儀正しかったが、そんなことなら、少し辺りを見渡せばどこにでもいる。  普通の女の子だと思っていた――――  この上なく優しくて、胸がしめつけられた。  その激しさが、自分を熱くさせた。  こんなに好きになるだなんて、思ってもいなかった。  触れるだけで感情が昂ぶって、言い様もない思いが全身を駆け巡る。  その哀しそうな微笑みを見るたび、抱き締めて二度と離したくなる。 ――――どうしていいのか、判らない………。  この思いだけが膨れ上がり、溢れだし、もう、自分を押さえることができない……。  ルイ―――――
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