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「ん?」
レッドは背後に近づく気配に食器を持ったまま、振り向く
「お!嬢ちゃん、体はもう平気なのか?」
レッドが優しい笑みで少女を視る
其の瞬間、少女から死の感情を感じとる
「殺す!!殺す!!!!」
ガブッ!
「つっ」
少女はレッドの首筋に噛みついた
噛みついた瞬間、レッドが持っていた食器はたちまち床に落下し、盛大に割れた
「ヴヴヴヴー……」
獣が唸るような鳴き声がする
其と共に少女のくい込んだ刃は、レッドの首筋から血を奪い取る
しかし
「んんー!!んんんんー!!」
飲めない、いや血が流れていないと言えばいいだろう
少女はレッドの首筋に噛みついたまま血を吸えないことに腹を立てた
やっぱりと、俺は思った
そして首筋に噛みついた少女の背中を優しく撫でた
すると少女はハッと噛みつくのを止めて、レッドの顔を視た
「赤い……瞳?」
震えた少女の声は段々と安心した泣き声となって、レッドに飛びついた
「俺も吸血鬼だ。だから安心しろよ」
「ああああん!!…仲間ぁ!!仲間が居たよママァ!!!!」
少女は吸血鬼と吸血鬼との間に生まれた、幼い吸血鬼だった
吸血鬼狩りに追われて、家族を失った少女をレッドは温かく家族として迎え入れたのだった
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