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お袋は俺に血を飲ませてくれた。だから俺は生きている。お袋のお陰だ
「……生きて」
たった其の言葉しか頭に残ってない
俺は其の後、お袋の血を飲み続けた
あまりにも美味かったから、止められなかった
そしてお袋の体から血が無くなった
赤ん坊だった俺はひたすら吸い続けた
しかし血はとっくに無くなっている。俺は泣き出した
そしたら黒い服を着た男がやって来た
そいつも吸血鬼だった
男は俺をあやし、育ててくれた
名前は覚えていなかったが、ハッキリと男と生活した日々は覚えている
一緒に寝て
一緒に血を飲んで
一緒に笑って
一緒に学んで
楽しかった。まるで本当の親父みたいだった
しかし、ある日突然いなくなった
10歳の時だった。俺がカブトムシを獲りに山に遊びに出かけている間
男は家から消えた
其からだったよ
初めて山を下りたのは
其から大将に雇われて、近所の人達とも仲良くなって…
余計血が飲めなくなった
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