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その後も流星を眺めた。
しかし、再び二人とも黙り込んでしまった。
どうにかしてまた話題を持ち出そうとした。
「父が星を好きなんですよ」
「えっ!?」
今度は先に彼女の方から話をかけてきた。
「父は昔から星が好きで、母と結婚する前も二人で何度も星を見に出掛けたそうなんですよ」
俺はただ静かに彼女の話に耳を傾けた。
「そして私が産まれたときも『星の子だ!』だなんて喜んだそうですよ。
私が産まれた日は夜空に綺麗な北斗七星が出ていたんだって。
だから北斗七星から名前をとって『七星(ナナセ)』だって。笑っちゃうよね」
「ううん、そんなことないと思うよ」
「えっ……」
「とってもいいお父さんだと思うよ」
「………………」
彼女はしばらく話すのを止めた。
でもまたすぐに話の続きを始めた。
「はい、父はまだ私が幼い頃から星を見るために外に連れてってくれたそうなんですよ。もちろん覚えてなんかいないんですけどね。
でも父は言ってました。肩車してもらった私は空に向かって手を一生懸命伸ばして『お星さま取るの』って言ってたって」
「なかなか可愛いね」
「茶化さないでください! 結構恥ずかしい話なんですから」
「でもそれって村上さんが小さい頃から星が好きだったってことだよね」
「……うん」
彼女はまた黙ってしまった。
でもこちらから話しかけようとしたが急に気恥ずかしくなってしまい、結局話しかけることができなかった。
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