星降る夜に

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「それじゃあ私はそろそろ帰ります」 「じゃあ俺もそろそろ帰るかな。星も充分見れたし」 俺は懐中電灯で辺りを照らしながら後片付けを始めた。 そのときふと視界に入った彼女はまた流れ星にお願いをしていた。 「また合格祈願してるの?」 「ううん、また違うお願い事です」 「ハハハ、それはまた強欲で。それで今度は何をお願いしてるの?」 「それは内緒ですよ」 上機嫌に鼻唄を歌いながら星を眺めている。 特にこれ以上しつこく聞くのもと思い、深く追求はしなかった。 片付けも済んで防波堤から出たときには日も出掛けていた。 ようやく彼女の姿をぼんやりとだが確認できるくらいには明るくなった。 「まだ暗いし送っていこっか? 自転車なら積めるし」 「えっ!? そ、それは大丈夫です!」 「遠慮することはないよ」 「いや、そういうことじゃなくてですね……」 彼女は口ごもり、目をそらした。 始めは遠慮してんるんだと思ったが、少ししてようやく気がついた。 「そうか、星を見に出ていったのに知らない男の人と帰ってきたら勘違いさせちゃうもんね」 「そ、その……ごめんなさい」 「いいっていいって、俺こそ無神経でごめんね」 なんだか妙な寂しさを感じた。
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