星降る夜に

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先程から女性は結構大きな声で独り言を言っている。 (もしかしてこの場に自分一人しかいないと思っているのではないか?) そう考えると、途端に自分がこの場にいることに気まずさを覚えた。 俺がいることを彼女に間接的に知らせるべきか? それとも静かに立ち去るべきか? 俺は色々と考えを巡らせていた。 「あっ!」 カツッ コロコロ…… 何かが落ちた音。そしてそれが転がる音がした。 コロコロ そしてその音は、 コロコロ……トンッ 俺にぶつかって止まった。 俺はそれを手に取った。手で触れたことにより、俺はすぐにそれが懐中電灯だとわかった。 理由は簡単。偶然触ったところがスイッチだったらしく、光はまっすぐ俺を照らした。 「えっ!」 「あ……」 二人の抜けた声は静かな闇へと消えていった。 そして沈黙は破られた。 「きゃああああぁぁぁっ!!」
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