星降る夜に

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その後も二人揃ってシートで仰向けになって星を眺めた。 「あっ! 今一度に三つくらい流れましたよ」 「うん見たよ。ちょうど今がピークなのかな?」 「そうかもしれませんね。こんなにもはっきりと流れ星見たのって初めてですよ」 「それじゃあお願い事をすればご利益があるかな」 「ああ! そうだ忘れてた!」 彼女は突然跳ね起きた。 暗くて様子は見えなかったが、たぶんお願い事をしているんだと思う。 所々彼女の口からゴニョゴニョと言葉が漏れていた。 「これでよし!」 彼女は再び仰向けに戻った。 「何かお願い事したの?」 「はい。無事に合格できますようにって」 「ん? 今年受験生?」 「高校3年です。大学受験を控えてるんですよ」 「そうなんだ。無事に合格できるといいね」 「……はい、そうですね」 彼女の最後の言葉に少し引っ掛かるものを感じた。
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