失ったもの

2/3
218人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「ご両親が、事故に巻き込まれてこちらの病院に運ばれました」 自宅の固定電話から聞かされた一言。 その時、ただただ頭が真っ白になった。 信じたくなかった。 嘘だと思いたかった。 だけど、病室のベッドでお父さんとお母さんが変わり果てた姿で横になっている光景を見て、そんな思いは見事に打ち砕かれた。 話によると、二人が乗っていた車は、飲酒運転の車に追突されたらしい。 正面から、しかも勢いよく衝突されたため、二人とも意識不明の重体。 耳を塞ぎたくなる事実だった。 だけど、まだ助かる見込みがあるから、必死な思いで神様に祈り続けた。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!