狩る者

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俺から見て右にいる奴が待つのに飽きたのか、ガキに襲いかかった。この距離ならギリギリ間に合う!! 俺はガキとこいつの間に着地すると、飛んで来た奴の脇腹を狙い回し蹴りを放った。 ゴキッ! 骨の折れる音がした。回し蹴りをくらった奴はくの字に吹っ飛び、近くの家に突っ込んで行った。これで死んだとは思えないがな。 他の奴らも俺を警戒してくれれば嬉しいが……無理な話だな。そもそも、奴らにまともな知能があるかも怪しい。俺なんて突然横から入って来たオモチャぐらいにしか思われて無いだろうな。 俺は周囲を警戒しながら奴らを観察した。 【アアアァアァアア】 皮膚は剥がれており、筋肉や骨が所々見えている。俺は奴らを死体のようだと思った。昔人間だった彼らも今では生存者を襲う化物へと変貌していた。 奴らは~彷徨い歩く者『ウォーカー』~と呼ばれていた。呻き声を出しながら歩き続ける感染者に意思は感じられない。純粋な本能で動いてるのかもな。 ベキベキベキ!!! 【オオォアアアァ!】 家に突っ込んでいたウォーカーが骨組みを破壊しながら外に勢い良く出てきた。この感染者の超人的身体能力こそが、軍が勝てなかった大きな要因だったりする。 何しろ銃弾は躱わすわ、兵器は破壊するわ……軍は完膚無きまでに叩き潰されたらしいからな。それを思うと当時の兵隊さんが可哀想に思えてくるよ。 俺にはどうでもいい話だがな。
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