狩る者

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誰もいなくなってしまった住宅街……雑草が家や道路の亀裂から大量に生えている。赤レンガを中心としたこの街は住民からかなりの人気を得ていた。しかし、雑草が辺りを支配した緑の世界に変わっていた。 かつて活気に溢れていたその街に昔の面影はなく、辺りに静けさを充満させていた。 そんな住宅街を、1人の男が歩いていた。年齢は20代前半。身長は170後半。髪は黒く、身体からは不機嫌なオーラが出ていた。 「……暑い」 男は上を見上げた。 この周辺の日差しは強く、夏になると30°Cを超える日があるほどだ。 「くそ……何だってこんな日に猛暑なんだ」 男は忌々しそうに太陽を睨むと、視線を正面に戻した。 男の視界は荒れ果てた公園を映し出した。その公園には、砂遊びの道具やボールが散らばったまま放置されていた。先ほどまで遊んでいたかのように。 だが、今では誰も住んでいない……いや、ここは住む事も自体禁止されているんだったな。 男はさらに頭の中で続けた 何たってここは化け物が出没する『危険地域』だからな。今ここに住みたいって奴はただの自殺志願者だ
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