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「勇者さま。お怒りのとこ悪いんだけど、この現状には色んな理由があるんだよね。」
湊はアイリスと距離を縮めて間合いに入る。
「理由ですか?聞いたところで、納得できるとは思えませんね。」
そう言って、アイリスは剣を強く握る。
戦う気まんまんだな…。
「まぁ、そうなんだけどさ。なんて言うか、事故みたいなもんなんだよね。あはは…。」
『事故って幾ら何でも無理あり過ぎじゃね。明らかに…俺らの責任だよね。』
イヤむしろお前だから…。
お前以外に原因ないから。
湊の心の声も虚しくアイリスは、剣を振りかざして斬りかかろうとしていた。
「おっと!たんまッ!人の話は最後まで聞きましょうよ。」
アイリスの太刀筋を見切ると湊は、バックステップで難なくかわした。
意外に遅いな…。
「クッ…意外にやるようですね。」
奥歯を噛みしめ湊を睨みつけるアイリスに、湊は思う。
もっと、その冷たい眼差しが欲しいんだな。ぐふふふふ。
「なぁチャラ神。もしかしてだけど…アイリスの動きが遅く見えるのって…。」
さっきからどうも周りの動きがゆっくりになるんだよな。
騎士団達が襲ってきた時も遅くてスーパースローですかって感じだったし。
『まぁ神眼だよ。相手の動き、つまりは動作から魔力の流れ、技の発動から放出まで見切れちゃう感じだね。慣れれば相手の技も真似できるよ。』
強いを通り越して卑怯じゃねぇか?チート過ぎて引くわ。まぁ、驚きもしないけど相手が可哀想だなこりゃ。手抜いてやらないとつまらなそうだな。
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