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「条件とは何です?」
そう聞き返しながらも、アイリスは少しずつ俺の間合いに入ろうと詰め寄って来る。
「なるほど、やはり殺り合う気か?」
「それ以外に道はありません」
「そっか。それじゃ、どちらかが戦闘不能になったらそこで戦いは終了。俺が勝てば勝手に出ていく」
「私が勝てば?」
「好きにすると良いよ。殺すなり何なりね。君達勇者はさ、魔王も含めて魔物なんかもだけど、自分達に害があると思った者は平気で殺すんでしょ?何の罪悪感も持たずに。そして、のうのうと日々を過ごすんだよね?」
「何を言ってるんですか?そんなのは当たり前です」
元居た世界のマンガや小説なんかは必ず勇者が世界を守るだのなんだかんだ言って魔物たちを殺していく。
俺にはそれが許せない。
皆同じ生き物のはずなのに、平気で殺して平和がどうとか理由を付ける。
殺した分の憎しみが増えるはずなのに物語の終焉はいつでもハッピーエンドが多い。
「当たり前…か。」
「君たちに家族や友達がいるように、魔王や魔物にもそれはいるんだよ。君たちが平気で殺すそいつらにもね」
「それがなんだと言うんですか?私たちは平和の為に争いを無くす為に勇者として戦ってます。あなたにとやかく言われる筋合いはありません」
もはや話し合いの余地は無いな。こいつは考えが偏りすぎてる。この思考は、はっきり言って危険すぎる。
「…それはさ。君たちの勝手な都合でしょ?勇者が聞いて呆れるよ本当に。その勝手な都合がさらなる憎しみを生んで争い事が起こるのに…何で気が付かないの?本当に自分たちが正しいとでも思ってるの?」
「アイリス、もう一度言うぞ。魔物たちにも家族や友達がいる。お前らの願う平和や戦い方は間違ってんぞ。しかも、それがどれだけ危険な思想なのかも分からないとかワロタ」
「間違っているのはあなたですよ湊さん。何故、魔物なんかの肩を持つんですか?魔界の魔王や魔族、魔物は現に人間界を脅かしてるじゃないですか?そのことを知ってあなたは共存できるとでも思ってるんですか?」
「そっか…じゃあ、魔物や魔族が人間界に来るその理由は何でだか知ってるの?」
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