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「なっ、何を言ってるんですか?今は戦いの最中ですよ。自己紹介なんてして何になるって言うんですか?」
アイリスは顔を少しだけ赤らめると侵食を止めるように魔力を高めていく。
これが水彩のマリアと言われる由縁なのか、アイリスを守るように地面や植物から画用紙に描いた水彩画のように鮮やかな水色に光る粒子が集まってシールドを補強していった。
綺麗だな…。
アイリスも綺麗だけどこんなに綺麗な水色は初めて見た。きっと、魔法がある世界だから、精霊なんかもいるんだろう。
アイリスは水の精霊に愛されてんだな。
「綺麗な魔力だな。他の勇者達も皆そんなに綺麗な魔力なの?」
「私たちは国を代表する勇者ですよ。魔力の質も量も他の人たちとは違います」
「へぇ~そうなんだ。早く他の勇者のも見てみたいな。…リオネルは見たくないけど。でもね、アイリス。」
「お前らがどれだけ綺麗な魔力の持ち主だろうと、それを塗り潰して塗り替えられるのは黒なんだ。」
「つまり、君は俺には勝てない」
見下すこともなく湊は優しくアイリスに笑顔を向けた。
「何を言って…!」
気付いたところで後の祭り。アイリスは自分を防御しているシールドが黒ずんでいるのが分かった。
それを見てアイリスは奥歯を噛みしめる。しかも変化はそれだけではない。湊の使った黒水墨は少しずつアイリスの魔力を喰らって行った。
「言っただろ?お前は俺には勝てないって。そんな悲しい顔すんなよ。これが力の差だ。」
「アイリスこれからはちゃんと努力しろよ。きっともっと強くなれるさ。こんなこと言うと手加減されたって思うかもしれないけどよ、悪く思うなよな。弱すぎて話になんねぇわ。少しだけ眠ってろ。基本的には俺って女は傷付けない主義なんだがね。まぁ、今回のことは別としてね」
再び笑みを浮かべてから右拳の魔力を最大に高める。
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