異世界に着きました。

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「湊さん…。それは私に対する…いえ、私たち勇者に対する侮辱です」 湊を鋭い目つきで睨み付けるアイリスの眼光が突き刺さる。 「ごめんね。アイリスが言いたいことはごもっとも。だが、俺はお前達勇者をいつまでも未来永劫、侮辱し陵辱し潰す者だ。もうお休みの時間だ」 アイリスを守るシールドが全て黒ずんでアイリスの魔法は弾けるように元の場所へ消えて行った。 「…絶…対に……許し…ま…せん…。私た…ち…をバカ…にしたこ…と」 肩で息をするアイリスを、空いた左腕で支える。 「悪いがな、次に会う時は敵同士だ。その時は全力で殺し合おうぜ。ゆっくりおやすみ…漆黒夢」 魔力を集めた右拳を開いてアイリスの頭を撫でるとアイリスは力無く湊に体を預けるようにして意識を失った。 「ふぅ…少し疲れたな」 と言いつつも、想像魔法を使ってベットを出す湊。抱えたアイリスをそこに寝かせる。 それにしても女の人ってのはこんなに甘い香りがするもんなのかな。 あぁーお持ち帰りしてぇ。もう良いかな。アイリス可愛いし綺麗だし。 「愛でたい」 『はいッ!湊ちゃんストーップッ!心の声がダダ漏れだからッ!顔付きが性犯罪者のそれになってるからッ!』 「うるせぇ!頭の中で喚くなチャラ神!俺は今アイリスを愛でようか葛藤してるんだッ!」 『マジでやめようねッ!さすがに異世界に来てすぐ、捕まったら笑えないから』 「何だよ。良いじゃんかよ。寝てるしバレないじゃねぇかよ。今がチャンスなんだよぉぉぉぉお!」 『ダメに決まってんだろうがッ!さっきまでのカッコイイ雰囲気は何処に行ったんだよ!全部台無しだよッ!』 「わーったよ。うるせぇな。とりあえず、アイリスに回復魔法かけるから少し黙れ」 『何だその変わりようは…』 アイリスの胸とお腹の間に手をあてる。こっちの世界、つまり異世界の人間には生まれ持った魔力を作る核がある。まぁ、神眼によって分かったことだけども。 その魔核に魔力を注いでアイリスの魔力を回復する。魔核がゆっくりと光を放って次第に落ち着いていった。 とりあえずこれで大丈夫だな。明日までは目は覚めないだろう。ゆっくり休めるように指を鳴らして掛け布団をアイリスに掛ける。 本当魔法って便利なもんだよな。
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