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湊が魔法の詠唱呪文を唱えると地に落ちていた瓦礫は宙に浮いて元あった場所に戻っていく。
時間にして数秒、瓦礫は消えて何事も無かったかのように崩れた城は元通りになった。
「まぁ、こんなもんだろ」
直った城から未だに意識のない若い騎士団の男を見下ろす。
「…ライトニングボルト」
躊躇する事なく、放たれた魔法は若い騎士団の男を気絶から目覚めさせるには十分だった。
「イッテェェェエ!!」
飛び起きた騎士団の男を尻目に残りの倒れた騎士団の男たちをアイリスの横に並べる。
「おい、お前。俺はもう行かなきゃならんから後のこと任せて良いか?」
痛みに悶えていた若い騎士団の男は湊の声に反応するように飛び上がった。
「きっ貴様は、さっきのッ!アイリス様に何をしたッ!」
「見れば分かんだろ。寝かせた。それにお前の仲間も。」
「兎に角、人の話をよく聞けよ。俺は今から行かなきゃならないとこがある。とりあえず、アイリスに関しては魔力回復はしてある。そもそも俺は今日戦いに来たわけじゃねぇんだよ。たまたま通りかかった事故みたいなもんだ。まぁ、城を壊したのは謝るよ、ごめんな。でも、直しておいたから勘弁しろよ。後、アイリスには今言ったことは黙っていてくれ」
「城を直してアイリス様を回復させただと、しかも黙っておけとはどういう意味だ」
「んーまぁ、お前らが俺を拒絶する限り、相容れないわけだからな。その意味の答えは時期分かるさ。じゃ、アイリスによろしくな。行くぞチャラ神」
『どうかしたのかい?湊ちゃん』
「何でもない…。それより早く行くぞ」
『了解。んじゃ!気持ちを改めましてェ!今度こそ魔界に行くぞぉぉぉぉお!それじゃ、転送』
「待てッ!貴様ッ!まだ話は…」
最後まで言い切る前に若い騎士団の男の前から湊は音もなく文字通り姿を消した。
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