1話 想い出

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帰りの会の終わりが私の、勝負だった。 なのに、すでに彼はいなかった。 終わったばかりなのに?!って驚きつつもランドセルと紙袋を手に探し回った。 階段を降りたり登ったりしてやっと見つけたのが告白現場だった。 『森脇くん!好きです!受け取ってください!』 『…ありがとう、俺でいいなら受けとるよ』 ありがとうと聞こえた時点で、逃げ出した私 勇気なんて出さなくて良かった 出してたら、傷ついてた。 初めてひとを想って作った、バレンタインチョコは公園のゴミ箱に捨てた。 気持ちと共に… 想うことの切なさ 貫き通せないほどの想い 区切りがいいと、心に言い聞かせた。 家族で引っ越すときに、車で母に聞かれた 『チョコは、渡せたの?』 『チョ、チョコ?!誰にあげたんだ?!』 『ねーちゃんは、友チョコだけだろー?』 『………うん。渡したよ』 この日私は、さらりと家族に嘘をついた
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