⑩

「なぁ、仁」
「ん～？どうした恵？」
ポリポリとチョコのついた棒を食べながら仁が返事をしてくる
「ポッ○ー食べたいのか？」
「いや、そうじゃない…もらうけどさ」
ポリポリカリカリ
「…で？どうした恵？俺に質問か？答えられる範囲でなら答えるぜ？」
「質問じゃないが…エトセトラって名前さ…」
「俺達の部活名がどうした？」
「あいつ…『桃太郎』と似てないか？」
「…そういえば」
「何々？何の話？」
「清水ちゃんや辰も知らない話だよ」
「気になるよ～」
「しょうがないから話してやるよ」
「「桃太郎…鬼月桃の話を」」
＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊
「お菓子とか準備できたよ～」
「早く聞かせて」
「よし！始めるぞ？」
パチパチパチパチ
「俺と仁があいつに会ったのは幼稚園のことだった…」
「え！？幼稚園だったら、私達も知ってそうだけど…」
「お前らとは、幼稚園が同じで良く遊んでたが、組は最後まで違ったろ？」
「…そうだったね～」
「私達の知らない仁くんと恵哉くんか…何か想像できないかも」
「…続き話すよ？」
＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊
『ねぇ！キミたち犬くんと猿くんだよね？』
『そうだけど…』
『だれだよおまえ』
『私は、鬼月桃！』
『…それで？俺達に用事？』
『うん！一緒に鬼退治行こうよ』
『……』
『仁…やばいよこの子』
『…ちょっとね』
『ねぇ～！作戦会議ならリーダーの私も混ぜてよ～』
『…リーダー？』
『いつの間に？』
『えっ？ほら、鬼退治と行ったら桃太郎でしょ？』
『……』
『……』
『さっ！チーム桃太郎！はりきって行こうよ！』
そう言って鬼月はキラキラとした迷いの無い瞳で俺達をみたんだ…