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『やめて』
どうにかして止めようと、上級生の腕にしがみつく。
「邪魔なんだよ!」
けれどすぐに振り払われて、突き飛ばされて。
ドサッと、尻餅をつく。
「ミィ!っ、お前ミィに何すんだよ!」
ケンカはますますヒートアップする。
でも。
相手のほうが体格もいい、人数も多い。
ーー・・・勝てるはずがなかった。
相手のリーダー格の男の子は手を払うと。
「もう俺らに逆らうなよ?」
地面に倒れこむ琥珀にそういったかと思うと、ランドセルを背負って家に帰ってしまう。
私は急いで琥珀に歩み寄る。
『痛いよね?ごめんね?
ごめんね、琥珀』
琥珀はなにも言わずに、ランドセルを背負い直す。
怒っちゃった。
どうしよう。
「ん」
ポロポロと、こぼれ落ちる涙。
それに邪魔されながらも、差し出された手をぎゅっと握る。
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