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そのままマンションに向かう。
その間、琥珀は一言も発さない。
どうしよう。
嫌われちゃった。
怒らせちゃった。
でも、この手を離すことなんてできなくて。
ぎゅうぎゅうと、握る手に力がこもる。
「ミィ、ちょっと待ってて」
でも、するりと。
手がはなされて。
どこかに消えてしまう。
心細くて、寂しくて。
そのまま歩道に座り込む。
「ミィ?」
顔をあげれば。
ぼやけた視界に、傷だらけの琥珀の顔が映りこむ。
「どうした?気持ち悪い?」
ふるふると首をふると。
目の前に手が差し出される。
『??』
「手出して」
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