51人が本棚に入れています
本棚に追加
甘味処を出た男は、町をブラブラ歩く。
「それにしても……ほんと暑い日だなぁ」
どうやら、暑いのは苦手らしい。
さっきと同じ言葉を呟いていた。
いく宛もなく、ブラブラと歩く。
すると、前に人だかりが見えた。
「あり?」
なんの人だかりかと思い、後ろの方から背伸びして、中心を覗く。
そこにいたのは、一人の女が小さい子供を守るようにしていて、対峙するように立っていたのは、見るからに下品な浪士だった。
「そこの坊主が悪いんだろ?俺にぶつかってきたんだからよぉ……」
男が下品に笑いながら、女をなめ回すように見ながら言う。
女は負けじと睨み返しながら怒鳴る。
「何いってんのよ!!どう見ても、あんたがわざとぶつかってたじゃない!」
「なんだとこの糞尼!!」
「なによ!?あんたそれでも侍なの!?弱い者に寄ってたかって……。あんたなんか、新撰組も相手にしないだろうさ!」
女の言葉にそうとう腹が立ったのか、男は刀を抜いた。
刀を突きつけられて、少し怯む女。
しかし、その目は強気で相手を睨んでいた。
キラリと光るその刀を舐めて、浪人は刀を振り上げる。
最初のコメントを投稿しよう!