第一章

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「結婚しよう」 「え」 付き合って一年目になる彼氏から、デートの別れ際にプロポーズされた。 今までずっと恋愛に興味がなくて、男なんて…と思っていた私に人生で初めて出来た彼氏だった。 彼は7歳も年上で今年で30歳。 大学を卒業して働き始めた会社で、自分の務めていた部署の上司だった人。 誰にでも優しくて、いつも笑顔でいる彼に恋心は抱かずとも好感はあった。 そんな時彼が好きだと言ってくれて、最初は付き合うつもりなんてなかったが、告白されて意識している内に、自分も彼が好きになっていた事に気づいた。 後日告白をOKした時の彼の喜び様は、見ていた自分も嬉しくなる程だった。 付き合ってみて、同じ時間を過ごして私自身もどんどん彼の事を好きになっていた。 会社やデートで毎日会っていたけど、もっと一緒にいたいと思うようになっていた。 彼と一緒にいる時の自分はいつも笑顔で、彼にも笑顔でいて欲しくて一生懸命になっていた。 結婚は、いつかしたいと思っていたが、今は目の前の幸せに一杯一杯で、あまり考えていなかった。 愛する人からのプロポーズ。 断る理由なんて思い浮かばなくて、私は答えるよりも前に泣いてしまった。 いきなり泣き出した私に、吃驚していた彼だったが、私が少し遅れて肯定の返事をすれば、黙って抱きしめてくれた。
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