第一章

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「絶対幸せにするから」 今現在が、人生で一番幸せなのに、これ以上幸せになるのかと思うと怖くなった。 少し見つめあった後、優しくキスをされて銀色の指輪を渡された。 彼の掌にある銀色の指輪を見つめながら、自分の顔がへにゃりと緩んだのが分かった。 嬉しくて、嬉しくて、幸せで、これが全て夢なんじゃないかと思ってしまった私は、自分の右頬を強く摘まんだ。 「いひゃい…」 右頬には、確かに強い痛みがあってこれが夢でないことを教えてくれた。 「何やってるの?」 彼は少し不思議そうに顔をキョトンとしていて、それがなんだか可愛らしくて、またへにゃりと笑ってしまう。 「幸せすぎて、全部夢なんじゃないかと思って」 そう伝えると、彼は声に出して笑った後、私を抱きしめてくれた。 いつも通りの優しい太陽の匂いがして安心する。 「こら、匂いばかり嗅ぐなよ」 「えへへ。だって太陽のいい匂いがするんだもん」 すんすん、とさらに匂いを嗅ごうとすると、彼に離されてしまう。 太陽のいい匂いと、彼の暖かい温もりを失って少し残念そうにしていると、首筋に再び温もりを感じる。 一瞬何が起こったのか分からなかったが、よく見てみると自分の首筋に彼が顔を埋めていめくすぐったい。 「あんまり煽るなよ」 小さな声で呟いた言葉が聞こえて、耳まで熱くなっていく。 耳の下あたりに生暖かい感触がして思わず声をあげてしまう。 「ひゃっ!」 耳の下を舐められる生暖かい感触は何とも言えない。 俯いて目を閉じて我慢していると、上から笑い声が聞こえる。 恐る恐る目を開けてみると、彼が口を押さえながら笑っていた。 「かわいいなぁ…もう」 愛でるように目つめ、優しい表情をしている彼の方が可愛い…だなんて口が裂けても言えない。 お互いに照れながら見つめ合い、もう一度笑った。 「愛してるよ」 「うん。私も愛してる」 月明かりが二人を照らし、まるで祝福しているかのようだった。
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