one night Ⅰ

2/23
42911人が本棚に入れています
本棚に追加
/656ページ
『お前は何でも完璧だよ。でも、息が詰まる。 お前といると疲れるんだ。俺はもう無理だ』 3年前の別れの言葉は、今も頭にこびり付いている。 同期の男と付き合っていた。 長い間付き合ってきて、今更なんだよって。 結婚まで考えていたのに、なんだよって。 別れの一因は……私が彼より先に出世したからだ。 人事にはタイミングってものがある。 その年、『総務課の主』と言われた女性課長が、病気のため早期退職することになってしまった。 その後釜候補として、たまたま私に白羽の矢が当たったのだ。 プライドの高い彼にとって、彼女の方が立場が上なんて、複雑な心境だったのだろう。 結局、ダメになった。 そして…その3か月後。 彼は、よりにもよって、私の部下と結婚した。 前田のように、腰かけ気分で仕事をしているような女だった。 そう…私とはまるで正反対の。 ・
/656ページ

最初のコメントを投稿しよう!