眠れない夜に  one night side H

29/29
42953人が本棚に入れています
本棚に追加
/656ページ
ふと、昨夜、係長が放った言葉が脳裏に過る。 『後悔してないよ。自分に正直に生きてるから』 やっぱり、係長は凄いなぁ… 客観的に見れば、係長の状況を誰もが幸せだと思わないだろう。 だけど、彼女の屈託ない笑顔は、自分の人生をしっかりと歩んでいる自信に満ちていた。 人生をかけた恋。 私にも、そんな唯一無二の存在なんて現れるのだろうか。 係長のように情熱的な恋じゃなくていい。 ゆっくりと育むような恋でいい。 だけど、今のところ恋の片鱗はどこにもなく。 自分の年齢を考えると、正直、焦ってないと言ったら嘘になる。 「強行突破…しか、ないかもなぁ…」 青い空に向かって、独り言。 人生一度きり。 係長を見習って、大胆に道を切り開くのも有りかもしれない。 そんなことをおぼろげに思いながら、私は朝日の眩しい道を歩き始めた。 * END *
/656ページ

最初のコメントを投稿しよう!