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ふと、昨夜、係長が放った言葉が脳裏に過る。
『後悔してないよ。自分に正直に生きてるから』
やっぱり、係長は凄いなぁ…
客観的に見れば、係長の状況を誰もが幸せだと思わないだろう。
だけど、彼女の屈託ない笑顔は、自分の人生をしっかりと歩んでいる自信に満ちていた。
人生をかけた恋。
私にも、そんな唯一無二の存在なんて現れるのだろうか。
係長のように情熱的な恋じゃなくていい。
ゆっくりと育むような恋でいい。
だけど、今のところ恋の片鱗はどこにもなく。
自分の年齢を考えると、正直、焦ってないと言ったら嘘になる。
「強行突破…しか、ないかもなぁ…」
青い空に向かって、独り言。
人生一度きり。
係長を見習って、大胆に道を切り開くのも有りかもしれない。
そんなことをおぼろげに思いながら、私は朝日の眩しい道を歩き始めた。
* END *
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