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千葉県内、とある駅に程近い高級マンション。
その最上階。
そこは、平均的なサラリーマンの月収程度。いや、それ以上する家賃の部屋であった。
部屋に見合った身なりの男は、仕事を終え部屋へと帰ってくる。すると、リビングのガラステーブルに目をやった。
そして、ネクタイを緩める。海外ブランドで統一されたであろう、スーツにワイシャツにネクタイ。
年齢不詳なところがあるが、女性から一律好印象を得るであろうビジュアル。つまり、顔立ちも整っている。その眉が、条件反射のようにつり上がり。下唇が、痙攣のように微かに震えた。
テーブルの上には、無造作に破り取ったメモ紙。それに殴り書きの文字が、書き手の気持ちを主張をしている。
「なっ……」
男が、メモを手にする。
下唇と同様に、メモを手にした右手も震え出す。
“お世話になりました。やっぱり、家に帰る事にします。”
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