プロローグ

2/8
1891人が本棚に入れています
本棚に追加
/434ページ
   千葉県内、とある駅に程近い高級マンション。  その最上階。  そこは、平均的なサラリーマンの月収程度。いや、それ以上する家賃の部屋であった。  部屋に見合った身なりの男は、仕事を終え部屋へと帰ってくる。すると、リビングのガラステーブルに目をやった。  そして、ネクタイを緩める。海外ブランドで統一されたであろう、スーツにワイシャツにネクタイ。  年齢不詳なところがあるが、女性から一律好印象を得るであろうビジュアル。つまり、顔立ちも整っている。その眉が、条件反射のようにつり上がり。下唇が、痙攣のように微かに震えた。  テーブルの上には、無造作に破り取ったメモ紙。それに殴り書きの文字が、書き手の気持ちを主張をしている。 「なっ……」  男が、メモを手にする。  下唇と同様に、メモを手にした右手も震え出す。 “お世話になりました。やっぱり、家に帰る事にします。”
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!