第五章 震える王都

7/18
前へ
/164ページ
次へ
視界が完全に取り戻されたとき、佑都の目に映ったのは、無惨に崩壊した王宮だった。 「王宮が爆破された模様」 「任務は後回しだ!負傷者を救出しろ!」 「中に何人いたと思ってんだ!糞!」 王宮は、西館は跡形もなく吹き飛び瓦礫の山に、本館は半壊といったところだろうか、救出活動は、この後2日にわたって続けられた。 王都外縁 国境近くの森 「閣下、夜に国境の山を抜けるのは不可能です。近くに検問所を兼ねた集落があります。そこにいきましょう。」 「わかった...とにかく頼むぞ。」 あれだけ沢山の兵士を従えていたサリビア王は、いまや護衛兵は5人だけとなっていた。 「しかし...寂れた村だな。人がいないじゃないか。」 「おかしいですね...我が軍も駐留しているはずなんですが...とにかく隠れ家に向かいましょう」 王宮 田中佑都伍長 負傷者が続々と運ばれて行く。 軽傷の者もいたが、ほとんどは酷い怪我を負っていた。 死者もかなり出ている。 空を見上げると、ヘリが数機夕焼けを背に飛び去っていった。 「田中伍長!ぼーっとしてる暇があったら手伝え!早くしねぇと夜になっちまう」
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

295人が本棚に入れています
本棚に追加