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「それをこれから説明するんだ。軽装甲機動車にスピーカーを取り付けた。こいつで森の中を走ってもらう。これは田中伍長の分隊が担当する。」
「速く走りすぎると見失われるから注意しろ。森深部までは音は流すな、挟まれる。もしものときは車載のミニミで対処しろ。以上。」
「準備砲撃はもらえないんでしょうか?」
「砲撃も爆撃も行う余裕はないそうだ。それに、ネストリア側の町とは距離があるとはいえ、森が消滅したら気がつかれるからな。」
とんでもない作戦だ...
森に踏み込むのが危険なことはわかる、わかるが...
不公平極まりない。
他の隊員の給料も貰わなきゃ割に合わないと佑都は思った。
「あー、それとな。偶然遭遇した特殊作戦群の連中から嬉しい情報提供がある。アンデッド共は弾を頭に当てなきゃ倒せないそうだ。」
特殊作戦群...?
何故連中があんなチンケな森に?
特殊作戦群といえば、中央即応集団の構成部隊、自衛軍の中でもエリート中のエリートだ。
的と的の間に隊員を配置して射撃をやってるなんて話まで聞く。
一体なにをしてたんだ?
普通に考えれば逃げた王様の確保だろう。
となれば、既に王は捕まるか、死んでいるはずだ。
特殊作戦群を降り切れるはずがない。
しかしまだ発表していない所をみると...
政府の連中、なにか企んでるな...
佑都が考え込んでいるところに田井中が声を掛ける。
「隊長、そろそろ作戦開始です。LAVに乗り込んでください。」
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