第五章 震える王都

11/18
前へ
/164ページ
次へ
「よし、行くぞ」 こうして作戦は開始した。 軽装甲機動車が森の中を進んでいく。 そこらじゅうから呻き声が聞こえてくるのを感じた。 「しかしまぁ...完璧に殲滅しなきゃならないからって、こんな危ないことさせなくてもいいと思いません?」 「まったくだ。だがまぁ...仕方ない。とっとと済ませよう。」 そのときだ。 「隊長!前にゾンビが!」 「構わん、轢き殺せ」 ゾンビは車両とぶつかり弾け飛んだ。 「まるでホラー映画の世界だ」 そのまま数分道なりに進んだ。 佑都が話す。 「大体ポイントはここらだろうな。よし、まずはUターンして逃げれるようにしろ。」 車両を反転させ、元来た道を戻れるようにした。 「んじゃ、スピーカー鳴らせ!」 遠くで銃声が聞こえた。 すでに本隊も戦闘を開始しているらしかった。 本隊は本隊でスピーカーを展開することで、近場のゾンビを先に倒してしまう作戦とのことだった。 LAVの屋根に乗せられたスピーカーが派手に騒ぎ立てる。 佑都は屋根を叩いて叫んだ。 「おい、ゾンビを引き付ける必要がある、近づいてきた奴は遠慮なく撃ち殺せ!」 待ってましたとばかりに車載機銃が火を吹いた。 「隊長!こいつぁいい!ゲームみたいだ!」 機銃手が叫びまくる。 「おい!撃つのはいいが、噛まれるなよ!」 銃声とスピーカー音で瞬く間にゾンビが集まってくる。 屋根が叩かれた。 「そろそろ限界です!早く出してくれ!」 「よし!進め!轢き殺せ!」 運転席前からよじ登ろうとしていたゾンビが吹き飛ぶ。 「スピード出しすぎんなよ!見失われちまうぜ」 「俺らが喰いたいか?化け物共!ハッハー!」 「おい!ちゃんと狙え!無駄撃ちしすぎると銃身が焼けちまうぞ」 とはいえ、そんなことを言っている余裕がないほどのアンデッドが押し寄せてきていた。 「あと2分もすれば本隊だ!持ちこたえろ!」 「うわ!まずい!隊長!伏せて!」 運転手の言葉と同時に車体は宙を舞った。 何体ものアンデッドを同時に轢いたことが原因だった。 「助けてくれ!だ、だれか!」 朦朧とする意識の中、機銃手を車内に引きずり込んだ。 「糞!早く脱出しないと!」 LAVは横転し、木に追突していた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

295人が本棚に入れています
本棚に追加