第五章 震える王都

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結局、アンデッド駆除は夜通し続き、残りは夜が明けてから森に踏み込み直接始末することとなった。 その日の昼、サリビア各所に大型モニター車が配置され、ある映像が流された。 それは、日本国首相の演説だった。 「サリビアのみなさん、こんにちは。日本国首相、野中です。本日はみなさんに重大なお話があります」 映像は王宮正面の皇帝広場からのLIVE映像だ。 「我が国は約一ヶ月ほど前、ネストリア軍に攻撃を受けました。その攻撃に対する報復のために国民の皆様に多大な迷惑をお掛けしたことをまずはお詫びいたします。」 各都市に設置されたモニター、それに群がる民衆達は呆気に取られていた。 まず、ほんの数週間で王都が陥落したこと。 そして、侵略国の長が謝罪していること。 そもそもこの映像はどうやって流しているのか。 「そして我々は本日、王都陥落を持ってサリビア全土を解放しました。」 「みなさんは、腐敗した役人と王の圧政により数百年苦しめられてきました。しかし、それも今日でおしまいです。本日より、この国は我が国の領土となります。みなさんは、種族に関わらず、基本的人権を、平等を約束された日本国民の一員となるのです。」 「そして、みなさんを長年苦しめてきたアレクセイ王とその家族を捕らえました。彼らは裁きを受け、然るべき処罰を受けるのです。」 その後、数日間の裁判が行われた。 裁判は国中に放送され、裁判が行われている王宮前には連日死刑を求める人だかりができていた。 もちろん、王は死刑を言い渡され、死刑も公開処刑とされた。 処罰方法は銃殺とされ、全国に放映された。 一方、日本本国では、異界の地を併合するという報道がなされた。 しかし扱い上では、領海内に新しく生まれた島と同じく、元々日本国内である、となっておりそれが日本国の主張でもあった。 現地では死刑執行後数日はお祭り騒ぎとなり、一部暴徒化も見られたが、容易に鎮圧は完了した。 国軍は解体され、ネストリア残党は本国に逃れるか、自衛軍に捕捉され殲滅された。 もっとも、ネストリア本国は自衛軍足止めのため、国境線上に大量のアンデッドをばらまいており、本国にたどり着くのは容易ではなかったが。
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