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誰にも愛されなかった
父と思いたかった科学者は、自分を子とは思わない。
様々な毒や薬剤を投与されつづけ、何度も皮膚が爛れ落ち、爪がぬけ、血を吐いた。
それでも…興味を持たれていると思えば幸せだった。
しかし、科学者は死んだ。
自分ひとりを置いて…
残された体は薬剤ですでに人間ではなくなり、栄養も必要なく、睡眠も不必要となった。
病に苦しむことも、死に怯えることすら無い体…
それは残酷過ぎる命だった。
醜い体を愛する人はいない
例えいたとしても…
彼と同じ時間は歩めない…
誰もが彼を蔑み
誰もが彼を妬み
誰もが彼を憎む
いつしか彼は心さえ壊れた。
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