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薄紫の髪を揺らしながらエイルは空を見ていた。
あぁ…夢を見てるんだ…
なんとなくそんな風な実感をしていた。
目の前には小さな少年。
俯いたまま小さく震えていた。
「何をしている?」
ゆっくりしゃがみ込み問いかけると、少年は顔を上げた。
その瞳は酷く悲しげに揺れていた。
「おにーちゃん だれ」
黒青の舌をチラリと覗かせながら、少年は問いかけた。
「私はエイル。君は?」
「知らない…名前なんか知らない」
膝を抱えたまま俯く少年。
小さく細いその体をエイルを抱き締めていた。
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