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『違うよ!こんな番号知らないもん』
『ん?どれどれ?』
【0120XXXXXXXX】
『これフリーダイヤルじゃん!また通販で買い物したのかよ?』
『違うわよ!』
『まぁ、いいや~とりあえず教室行こーぜ』
『そうだね』
二人は教室に入り、自席に座った。
担任はまだ来ていないようだった。
『運が良かったなぁ、明佳!』
『本当だよ!』
後ろから1人の生徒が淳に飛びついた。
三上昴(みかみ すばる)だ。
『お前ら、毎日一緒に遅刻してきてラブラブだなぁ!ヒューヒュー』
『いいかげん、飛び掛かるのやめろよ、気持ち悪いな~』
『いーじゃんいーじゃん!朝は元気が1番!!』
『あのなぁ…』
『はい、皆さん!席についてください!大事な話があります』
騒ついた教室にいつの間にか教員が入ってきていた。
だが、その教員は担任ではなかった。この学校の職員でも…
『まずは、自己紹介から…かな?私は』
中山剛(なかやま たける)
『今日から担任をすることになりました。よろしくお願いします。』
一同『よろしくお願いしまーす』
『さて、早速ですが悲しいお知らせがあります。昨日まで担任をされていた高野裕樹(たかの ひろき)先生がお亡くなりになられました。』
騒ついた教室が一瞬にして静まり返る。
さっきまではしゃいでいた昴も目が点になっている。
皆魂が抜けたみたいに呆然としている。喋ろうとする者は誰1人としていない。
この空気を学級委員の前田佳奈子(まえだ かなこ)が遮った。
『剛先生!死因はなんなんですか!どこで死んだんですか!何時何分に死んだんですか!』
『おい、佳奈子!落ち着け!』
『昴は黙ってて!』
泣き叫ぶ佳奈子。
呆然とその姿を見つめるクラスの皆。
まさか、あの誰からも愛される人柄の良い先生が…死ぬなんて。
『辛いのもわかりますが、君たちは高校3年生。受験が迫っている今、勉強をしなくてはなりません。そろそろ1時間目が始まります。気を入れ直して授業に集中してください』
『こんな時に…』
『勉強なんかしてらんねーよ…』
まるで人が変わったかのように一人一人が静まり返り、教室は寂しくなった。
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