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紫水晶の空から白く儚いモノが舞い降りてくる。
大地にすでに積もったそれは冷たく、しかし柔らかい。
白が世界を覆う中にソレはあった。
白とは対照的な緋とその緋の持ち主の男。
男の存在が白の世界の中で唯一『生』を感じさせていた。
けれど、それも長くは続かない。
男の、正面から袈裟斬されたところから留めなく流れ白を染める緋。
元は濃紺であっただろう着物は、今は緋で黒いなっていた。
その緋が、男の生が残りわずかであることを物語っていた。
その男は仰向けの姿勢で空から舞い降りるソレを見ている。
全てを覆い、隠し、清めるように絶え間なく降りてくる白を男はただ見続けていた。
まるで、その白に魅入るように。
――さくり
白と静寂が支配する世界に音が生まれた。
男が視線を向けた先には膝をつき男の顔を見つめる少女がいた。
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