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2階に上り、ざわざわと騒がしい教室を3つ通り過ぎると、“2-1”のプレートがある教室の扉の前で一度立ち止まる。
ガラガラッ・・・
いつものように、騒がしい教室が少しだけ静かになるが、気のせいという程度ではない。
誰とも挨拶を交わすことなく自分の席に向かったが、前日、体育館に椅子を運んでいた為、棒立ちの夏鈴。
今日は卒業式。
クラスメイトが時折発する笑い声が、自分に向けられているような気がして仕方がない夏鈴だが。
無論、そんなはずはない。
「はーいっ、席につけー・・・」
お腹の底から出されたであろう、耳を塞ぎたくなるほどの大きな声に、夏鈴は身を縮める。
式の内容や注意事項、そして終了後についての簡単な説明が終わると、重い足取りで体育館へ向かった。
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